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塔を見上げて

「名古屋にあたらしい観光名所をつくる」これが僕の、密かな野望です。
FEATURE
ARUHI / ある日

「名古屋にあたらしい観光名所をつくる」
これが僕の、密かな野望です。

UPDATE 2020.12.15
COLLABORATOR INTERVIEW
TEXT : AI FUJITA(futatema)
グラフィックデザイナーでありながら、ドライフラワー専門店「ある日」を営むオーナー・大澤 富保さん。
専門店を立ち上げることになった経緯、今回関わったアートワークのポイント、
これからの名古屋をどう捉えるかについて、お話を伺いました。

― もともとグラフィックデザイナーをしていらっしゃったとか。なぜドライフラワー専門店を始めようと思ったんですか?

大澤 : デザイナーをずっとやっている中で、「自分にできることを何か形にしてみたい」って思いが出てきたからですね。ただ、自分でもお店を開くとは思っていなかったです。
ドライフラワーとの出会いも偶然でしたね。もともと植物が好きだったので、多肉植物からはじまり、ドライフラワーも買うようになって。最初はお店に買いに行っていたんですけど、気に入るものがなかなか見つからなくて・・・「それなら自分で作った方が早いじゃん」と思って、作り出したのが始まりでした。
そこからドライフラワー作りにどんどんハマって、何かお店をやろうと考えたとき、ドライフラワー専門店に行き着いたんです。当時、ドライフラワー専門店ってほとんどなくて。店が少ないってことは、需要もないのかな?と思っていたんですけど、蓋を開けてみたらそんなことはなかったですね。

― 全く未経験の業界で、どうやって学ばれたんですか?

大澤 : 全て独学です。ただ、やるからには中途半端なことはしたくなかったし、結果を出したかった。だからとにかく全力で、できる限りの努力をしてきました。新しく出会った花はとにかくドライになるか試し、それぞれの花の特徴や、どんな風に変化していくかを覚える。誰よりも早く市場に行き、同じ業界の方に顔を覚えていただく。地道なことを一つひとつ、積み重ねてきました。

― グラフィックデザイナーとしての経験が活かされている部分はあるんでしょうか?

大澤 : めちゃくちゃ活かされていますね。基本的にベースとなる考え方は一緒だと思います。どちらも「お客さんの叶えたいことを形にする」というところが共通していると思うんですよね。それから、「目に触れたものを自分の中に落とし込み、アウトプットする」という点もすごく似ています。デザインとドライフラワーで完成形は違いますけど、必要なプロセスは一緒ですし、常に高いクオリティを提供できる自分でありたいですね。

― 「ある日」さんのドライフラワーは、色合いがとても綺麗ですよね。どうやってその色を出されているんですか?

大澤 : なるべく「生花に近い色合いを出すこと」にこだわっています。すべて生花の状態で仕入れて、機械も薬品も一切使用せず、1〜2ヵ月かけて自然乾燥しているんですよ。これが他のお店との違いです。たくさんの花を見てきたからか、生花を見た時点で、ドライにしたらどんな色の仕上がりになるか想像がつくんです。だから仕上がりの色を想定した上で、いつも仕入れをしています。

― ホテルや1階のカフェ「Farm&」の装飾に関わられたとか。制作テーマは何かありますか?

大澤 : ホテル内は、「今まで見たことのないものを見せる」ことがテーマでした。せっかくアートに興味を持つような感度の高い方が来てくださるので、普通のドライフラワーではつまらないなと思って。そこであえて花ではなく、変わった形の枝や苔を使用したりしました。僕、和のテイストが結構好きで。洋風なものの中に和風を取り入れると、一気にモダンになるんですよね。今回もそれを意識したテイストに仕上げています。「Farm&」については、リラックスしてもらえる明るい雰囲気に仕上げたかったので、ドライフラワーではなく、空間に馴染むグリーンを提案しました。

― 独特な世界観を持ったドライフラワー専門店として、全国から注目を集めていらっしゃいますが、名古屋に出店された理由はあるんでしょうか?

大澤 : よく「名古屋飛ばし」なんて言われたりしますけど、この土地だからこそできることがあると思うんですよね。まず、東京や大阪ほど家賃が高くないから、贅沢な空間づかいをすることができる。アンティーク家具をこれだけ置けるのも、この土地だからできたことだと思うんです。あと名古屋って、「名古屋で成功すればどこへ行っても成功する」と言われるくらい、新しいことをはじめるには難しい場所って言われていて。だからこそ、ここで成功させたいって気持ちが強かったです。そうしたらどこでも通用するなって。今では東海エリアだけでなく海外からもお客様に来ていただけるので、表現したかった世界観が伝わったと思うと嬉しいですね。

― 名古屋への想いが人一倍強い大澤さん。これから名古屋で、さらに展開していきたいことはありますか?

大澤 : 名古屋の観光スポットになるようなお店をもっと増やしていきたいです。名古屋にはデザイナーさんが店主をつとめる、すてきなお店がいくつもあって。「名古屋だからできる空間づくり」をすることで、今回うちの店がそうなれたように、遠方からでも来たいと思われるお店が増えたらいいですね。名古屋に来てもらって、そういったお店を巡る。そうして名古屋に人が集まって、もっと盛り上がる場所に変えていきたいなと。そのために、自分が運営するお店に限らず、新しい空間づくりには積極的に関わっていきたいと思います。デザイナーとしての目線を活かして、色々と提案していきたいですね。

TEXT : AI FUJITA(futatema)
COLLABORATOR
ARUHI

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