INAGUMA KAGU 稲熊家具製作所

｢朔望｣ 月とは、どのようにして生まれたのか。それは、いまだに解明はされてはいない。一つの説に、地球に巨大な天体が衝突し引きちぎられた破片が月になったという説がある。時間をかけて今目にすることができる丸い月になったのである。タイトルの朔望とは、新月から満月への月の満ち欠けを意味しているが、月が生まれ今の形にまで生成されていった造形の意味も含めた。月が初めはどのような形だったかを想像するのはとても浪漫を感じる。今回の木と出逢ったとき、僕は自然に満ち欠けした造形に心を奪われた。長い年月をかけ、生成されていった造形は月と同じではないか。この自然美を壊さず、ダイレクトに伝えたく、ほんの少しだけ手を加えた。丸い楓の枠は太陽を表し、台湾楠が月を表している。これを機に少しでも木を愛でることになったのであれば、幸いだ。